学会ご報告とお礼
第27回長野県作業療法学会は、3月5日、6日の2日間の全日程を無事に終了することができました。ご講演いただいた山根先生、明田先生、作品展に素晴らしい作品をお寄せくださった皆様、機器展示にご協力いただいた業者の皆様、市民公開企画に足を運んでくださった皆様に心より感謝申し上げます。
本学会の参加者数をご報告します。(社)長野県作業療法士会員は5日441名、6日482名、そのほかに非会員2名、学生さん13名でした。市民公開企画(作品展・福祉機器展示)へは5日23名、6日35名の参加がありました(学会終了後集計)。学会の規模に比べて会場が狭く、不便なことも多かったかと思いますが、多くの皆様に参加していただけて本当に嬉しく思います。ありがとうございました。
特別講演1では、山根先生の作業療法への熱い想いを語っていただきました。まるで詩画集を見るような美しいスライドとともに、「土の会」から始まったご自身の活動の紹介、作業とひとの関わりについて、身体と作業の関係、そしてさまざまな印象的な言葉で作業療法の魅力と私たちが進むべき方向を示していただきました。また、最後には2014年横浜で行なわれるWFOT世界大会の紹介と協力・参加へのお誘いもしていただきました(詳細は協会ニュースをご覧ください)。
特別講演2では、明田先生がお子さん方のいきいきとした表情をとらえた映像も交えつつ、一瞬の笑顔など「あるがままの魅力」を見逃さない大切さをお話しくださいました。後半は先生の考案されたパステル象嵌について、その作業に取り組むお子さん方の様子とともにご紹介いただきました。作品展にはパステル象嵌の作品がお子さんの写真やメッセージとともに展示され、その味わい深い作品に実際に触れることができました。
「作品展〜作業活動の魅力〜」には最終的に約80点の作品を出展していただきました。作品に添えられた手書きの作品カードに胸が熱くなった方も多いのではないでしょうか。出品された方には記念品をお送りしました。記念品は中信地区の作業所などで制作されたバラエティーに富んだものでした。
福祉機器展示には5社のご協力をいただきました。作品展示にみえた方が、機器展示にも興味を持ってくださったり、業者の方からご来場者へ車椅子についてのアドバイスをしてくださったりと、市民公開企画の同じスペースの中での、予想以上の交流もありました。
尚、市民公開企画(作品展・機器展示)の様子は、3月6日の中信地区の地元紙「市民タイムス」に掲載されました。
演題発表には、口述演題18、ポスター演題11の発表がありました。病院、施設、地域・・・様々な分野で作業療法士が活動する現在の状況を反映するかのような、幅広いフィールドと様々な作業活動を用いた発表があり、学会テーマにも通じるものがありました。活発な質問や助言を寄せてくださった参加者の皆様、円滑な進行をしてくださった座長の皆様、ありがとうございました。
最後に、学会運営のために多くの助言とお力添えをいただいた県士会役員の皆様、諸先輩方に深く感謝いたします。そして、準備から運営までまさに縁の下の力持ちとして走り回ってくれた実行委員の皆さん、ありがとうございました。当日は、職場の業務のために学会には参加できなかった会員も多いと聞いています。参加された方々から、学会で感じたこと、発信し受けとめたことを伝えていただければ幸いです。
第27回長野県作業療法学会 学会長 川村聡子
実行委員長 伴 純一
事務局長 石原郁代
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テーマ
作業活動の魅力〜伝えようこの想い・受けとめようその想い〜
本学会ではテーマを「作業活動の魅力〜伝えようこの想い・受けとめようその想い」としました。作業療法士は治療手段として作業活動を用い、利用者の方々の作業活動の姿に触れているけれども、そこにこめられた想いをきちんと受けとめているだろうか、との自問から「作業活動をテーマにしよう」と考えました。そして、作業活動を切り口として検討する中で、自室にこもっていた方が楽しめる作業と出会い熱心に創作にとりくまれた姿、重度の認知症の方がカラオケで熱唱し拍手喝采を浴びた時の笑顔、ご自宅に訪問すると丁寧にお茶を入れてくださった姿…様々な利用者の方々のいきいきと輝く姿が思い起こされました。そこで「『作業活動の魅力』という視点で学会を開催しよう!」との想いに至りました。
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日程
平成23年3月5日(土)~ 3月6日(日)
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プログラム
■ 特別講演
しょうがいをお持ちの方々がいきいきと活動されている姿を紹介していただきます。皆様の姿、そして講師の先生の熱い想いに触れ、日々の業務を見直すきっかけや元気をいただけるでしょう。
特別講演1

特別講演1(3月5日)
作業活動の魅力
〜土の宿から「まなびやー」の風がふく〜
講師:山根 寛 先生
(京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻教授)
錯覚かもしれない。しかし、「生活を構成するさまざまな活動を手段に、ひととその生活機能をアセスメントし、生活機能に障害があっても、生活に必要な活動ができるよう援助する」という、あまりにもあたりまえなことが、今、確からしさをもって、自分の中にある。作業療法は、特殊な場や手段を用いない。日々の暮らしに必要な「作業活動の再体験」と「良質な休養」を提供し、自己と身体の「語らい(コミュニケーション)」の場、ひとが生活を取り戻す場をつくる。作業により、生活の障害を少なくし、生活を支援する。作業療法は、その仕事が最良であればあるほど、あっけないほど単純で自然に見える。その作業療法の平凡さと豊かな日常性が、自然な治癒力を引き出し、病いを治すことから、治る、そして病いを生きる視点を照らし出す。
ひとと人との出会い、それは理屈ではない。知識や理論で得られるものでもない。ひとの手を借りなくては食事をすることができない者がいる。今、その障害がある者自身が、自らの生活と生活している場を『まなびやー』として提供する、学びの場が誕生した。その共生(ともいき)の場でくらしの営みとしての作業を共にする。僕の作業療法の源流である「土の会」の活動の到着点であり、新たな出発点でもある。『まなびやー』、それは究極の作業療法かもしれない。その活動の経過を通して,作業活動の魅力を語りたい。
はじまりはいつも、なんでやろ? やってみよ
作業を 手段として使う 目的として使う その自由自在
ヒトは作業を通して「ひと」になる
特別講演2

特別講演2(3月6日)
あるがままの魅力
講師:明田 繁 先生
(信濃医療福祉センター リハビリテーション部主任)
どの子でも取り組むことが可能で、どの人の目も和ませることができる作品が残せる作業活動を模索する中で、簡単に描ける「パステルアート」の書籍と伝統技法である「木象嵌」に出会いました。この二つの技法を手がかりに「パステル象嵌」を考案し、子どもたち一人一人の想いと動作をあるがままに表現した作品創りに取り組んできました。
2007年10月、「菜の花」の作品に取り組んでいた時の出来事です。たくさんの黄色い花を描き終え、最後の花びらの色を選ぶことになりました。それまで使ってきた黄色を指差し返事を待ちましたが返事は「NO」です。まさかと思いながら“赤色”を指差した時に「YES」の返事である笑顔と小さな声がありました。何度も確認しながら黄色系の色も勧めてみましたが、意志は明確で図のように作品の中央のもっとも下に赤い花が一つ咲きました。できあがった作品はとても魅力的でたくさんの人から賞賛されています。
50年もの間に「既成の概念」と30年の臨床経験から「専門職としての自惚れ」を身につけてしまい、気付かないうちに自然体で子どもたちと向き合うことを忘れて、上から目線で付き合っていたようです。
そして今、子どもたちがあるがままに表現することを無意識のうちに抑圧し、「あるがままの魅力」に気付けず、自然な個性を引き出せていない作業療法士である自分を見直し始めています。そんな折「作業活動の魅力〜伝えようこの想い・受けとめようその想い〜」のテーマで講演の機会を頂きました。皆さんで語り合うきっかけとなるように、子どもたちから教わったことを紹介いたします。

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■ 市民公開企画

3月5日・6日開催 市民の方は無料です。
作品展「作業活動の魅力」
作品を制作された方にとっては作業への想いの発信の場として、更には作業療法士にとっては日ごろの活動の様子を紹介する機会として作品展を企画しました。作業療法場面あるいは生活の中で制作された作品が対象です。
応募総数は約70点、絵画、手工芸、陶芸、フラワーアレンジメントなど、作業の種類も制作された方の年齢層も障害も多岐にわたっています。リハビリ目的で始めた作業が、いつしかご本人の生活の一部となったり、生きがいとなったり、根気のいる大作をなじみのメンバーと助け合いながら作り上げ達成感を味わったり、障害によって1度は失った役割が作業活動を通して新たに獲得されたりと、作業との出会いや作業の持つ意味、取り組み方など、皆さんから発信された多くの想いに触れ、心が温かくなってくるのを覚えます。普段無口な方、議論好きな方を問わず、作られた作品と作品カードは饒舌に制作者の想いを語っています。どの作品も力作揃いで、作業の素晴らしさを再確認することができました。
また、今回は“あるがままの魅力”のテーマでご講演いただく明田先生のパステル象嵌の作品コーナーも併設いたしました。 この作品展が、日常行っている作業の原点に戻り、新たな作業活動の魅力を発見する場となってくれれば幸いです。 最後になりましたが、募集期間がわずかであったにも関わらず、ご多忙の中、快く応募してくださった多くの方々に心より感謝申し上げます。
作品展 責任者 佐野 紀九恵(豊科病院)

医療・福祉機器展
本学会でも例年通りに医療・福祉機器展示を開催しました。多くの皆様のご来場をいただき、ありがとうございました。機器を実際に試用されたり、業者の方と直接お話されている方もいらっしゃって、和やかな雰囲気の機器展示となりました。出展してくださった業者の皆様、ありがとうございました。
【出展企業】
主な展示:階段昇降機
主な展示:バイオポータブルトイレ
主な展示:介護用ベット、脚こぎ車椅子「ペダモ」、リクライニング車椅子「オアシス」、ポータブルトイレ
主な展示:車椅子、褥瘡予防用品
主な展示:移乗介助車いす「乗助さん」
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■ 一般演題・ポスター演題
一般演題は、口述発表18、ポスター発表11を予定しています。様々な分野からの発表があります。応募してくださった方々、ありがとうございました。仲間の、あるいは先輩・後輩の演題発表から多くのことを学び刺激を受けるのは、学会ならではの醍醐味です。
口述発表
老人保健施設入所者におけるリハビリテーション適応判定の試み
介護老人保健施設万年青苑 熊谷実晴
3年越しの自宅退所を目指して
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター介護療養型老健いずみの 岡村駿佑
松本市機能訓練事業21年のあゆみ
松本市北部保健センター 山本純子
重度認知症患者デイケアの役割
千曲荘病院 大井裕貴
訪問リハビリを通して学んだこと 〜不安の強い症例との関わりを通じて〜
上條記念病院 上嶋亜希子
リハビリ初診前の発達問診表が育児不安へ与える影響について
伊那中央病院 山本夏奈子
在宅生活において転倒後の廃用性低下によりADLが著しく低下した症例への訪問リハの関わり
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター地域医療部訪問リハ科 前田睦美
家事動作に拒否のある症例に対して 外出・外泊を利用しての評価
健和会病院 倉田美希
意識障害を呈した症例の長期的視点からの試み 〜Activityを介して生じた家族の意識変化〜
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院 竹渕のどか
在宅復帰に向けた認知リハビリテーションと地域福祉との連携
相澤病院 脳卒中作業療法部門 中山一平
引きこもりがちな生活を送っていた大腿切断患者が これまでの生活を見直す一助となったOTの関わりについて
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院 大月睦美
不穏や介護能力に制限がある重度四肢麻痺の症例 -問題解決し自宅退院となった経過-
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター三才山病院 長谷川 史
当院における外来OTの現状と課題〜3症例を通して〜
千曲荘病院 土屋和嘉子
高次脳機能障害を呈した症例の生活場面に対するアプローチ
健和会病院 田中美帆
散歩での関わりを通して自発性が向上した一症例
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院 小林 圭
在宅復帰に向けた重度失行症患者に対しての排泄アプローチ〜夜間の検討を中心に〜
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院 西條健太
指定療護介護事業所における就労支援チームについて
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター三才山病院 丸山佳子
在宅における筋萎縮性側索硬化症患者に対して担える訪問作業療法の役割〜自力摂取を目指した食事動作への介入を通じて〜
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター訪問リハ科 北林雅大
ポスター発表
当院回復期リハ病棟患者における退院時・退院6ヶ月後のADL比較検討〜FIM・Flow-FIMを用いて
上伊那生協病院 橋場美樹
リハビリ用ゲーム機の実用性の検証
相澤病院脳卒中作業療法部門 安藤道彦
橋出血患者に対しハンドサイクリング・アクティブタッチの介入により深部感覚優位に改善した一例
相澤病院脳卒中作業療法部門 中田佳祐
病院新築に伴うADL室の設計に関わって
安曇野赤十字病院 古川智巳
当院作業療法科教育・研修係における研究活動への支援〜研究ミーティングでの試み〜
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院 大塚英樹
意味のある作業の変遷‐治療構造論的な評価の果たした役割−
上松病院 倉石 愛
支持的な介入が奏功したことで活動の広がりや退院時の不安軽減を図れた症例‐痛みによる抑うつを呈した一症例‐
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院 百瀬朋博
意識障害により上肢の不随意運動が問題となった症例に対するアプローチ
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター三才山病院 池内由直
骨伝導音弁別によるP300型BCI開発に向けた最適刺激条件の検討
信州大学医学部保健学科作業療法専攻 千島 亮
当センターにおける頚髄損傷者の自助具の変化
長野県総合リハビリテーションセンター 田中瑞穂


